【時限爆弾の不動産PF・・・莫大な借金の山の上に立つ韓国経済】
2023.11.12 21:31 MBC
[探査企画ストレート]
1戸100億ウォンを超える漢江沿いの高級住宅。
派手なブランド通り。
ソウルの江南でも地価が最も高い江南中江南清潭洞です。
清潭洞プリマホテルがあった場所。
大通りに沿って遮蔽膜が打たれています。
ホテルを撤去し、最高級住商複合ビルを建設するはずでした。
地上49階、漢江の眺望も可能です。
しかし、開発が中止されました。
開発業者が推進した4,000億台の融資が詰まりました。
不動産プロジェクトファイナンス、PF融資の延長が拒否されました。
建てれば超高額分譲が保証された江南。
その不敗神話が揺れ始めています。
[清潭洞不動産仲介業者]
「清潭洞が崩れれば首都圏全体で問題が発生します。こんなにいい土地でもダメなら残りはもっとダメだろうと」
国内のPF融資は133兆ウォン。
低金利の時、途方も無く金を解き規模が拡大しました。
しかし、金利が上がり、景気が凍りつき、借金の逆襲が始まりました。
PF発経済危機が迫っています。
[キム・ギョンミン/ソウル大学環境大学院教授]
「これが崩れれば金融会社まで全て崩れる可能性があります。今は防いでいる状況ですが、一部にはとても深刻なものがある為、早急に爆発させるべきです。少しでも早く。来年の夏、全て同時に爆発する。そうなれば大問題です」
◀イ・フィジュン▶
こんにちは、イ・フィジュンです。
5年近く続いた不動産好況が終わり、出口の見えない低迷が続いています。
これまで、途方も無く増えた借金が、今韓国経済を押さえつけています。
今日の<ストレート>は、不動産PF発危機論の実体、そして政府の取り組みを覗いてみます。
イ・ジュンヒ記者です。
イ記者、まずPFとは何でしょう?
◀イ・ジュンヒ▶
PFは「プロジェクトファイナンス」の略です。
担保や信用で無く、事業計画で融資を受ける方法です。
◀イ・フィジュン▶
担保や信用で無く金を借りる?何か危険性があるようですね?
◀イ・ジュンヒ▶
はい。
ビジネスが上手く行けば大金を稼げますが、今のように景気が悪い時には問題が発生します。
少し前に見た清潭洞事業、何が起こったのでしょうか?
◀ VCR ▶
事業が中断された清潭洞の現場。
地価だけで4,100億ウォンにもなる大きな開発事業です。
施行会社は昨年12月、3.3㎡=2億9,000万ウォンでこの土地を契約しました。
地価が一番高かった時です。
[清潭洞(チョンダムドン)開発施行会社会長]
「15階以上は漢江が見えます。そんな面でも大韓民国最高の土地だと私は考えました」
しかし、施工会社が出した金は10%、410億ウォンだけでした。
残りはどこで?
金融機関から借りました。
PFローンです。
プロジェクトファイナンスは、主に不動産事業で使われる金融技術です。
銀行が企業に金を貸す場合、担保を取るか、信用を評価します。
しかし、PFローンは、一般的なローンとは異なります。
プロジェクト、つまり事業計画を見て金を貸します。
成功するか否か?事業性を問い、成功すると判断すれば金を貸す。
しかし、事業計画、将来の収益は不確実な為、言うほど簡単ではありません。
事業が成功すれば金融機関も大金を稼ぎますが、事業が失敗すれば大きな損失を被る可能性があります。
金が溢れ、住宅価格と地価が上昇し、不動産景気がいい時は貸す事が出来ずに気をもみました。
[清潭洞開発施行社会長]
<最高点はいつだったのでしょう?>
「20年、21年です」
<いつ頃?>
「土地を買えない施行会社は大騒ぎで、金融会社も施工会社を手伝うと大騒ぎした時期でした」
清潭洞開発の施行会社は昨年5月1年満期で土地代4,640億ウォン借りました。
セマウル金庫など金融機関と投資家26ヶ所が金を貸しました。
金利は最低4.5%、高くて7%でした。
しかし、金利が上がりました。
1年で最低10%、最高13%になりました。
その為、PF融資で稼ぐ事業の中断が続いているのです。
[忠南地域施行会社の役員]
「3~4年前は4.5%だったから1,000億を借りて45億?それを分けて払えば大きな負担はありませんでしたが、今1,000億借りると100億近い利息になるから容易で無い。金利の為にPF事業自体がストップしている」
更に、住宅分譲市場まで凍りつきました。
事業は必ず成功すると言う信頼が揺れ始めました。
施行会社は、事業性はいいと主張しましたが、最も多く金を貸したセマウル金庫がローンの延長を拒否しました。
[セマウル金庫中央会広報チーム]
「内部審査の基準は色々ありますが、事業性の部分も検討対象になりました」
ローンの延長協議が最終的に決裂すればどうなります?
施行会社に返す金はありません。
その場合、金融機関は土地を競売や公売に出します。
先順位債権者はある程度金を回収出来ますが、後順位の金融機関と個人投資家は1銭も回収出来ません。
[清潭洞開発施行会社会長]
「例えば、5,000億の土地が4,000億で公売になれば、最下段は1銭も金を回収出来ない。施行会社も同じです」
清潭洞一帯には、同様の最高級住宅施設が並んで開発されています。
2020年と2021年、不動産好況の時3.3㎡=2億~3億ウォンで土地を買い取りました。
しかし、今はギリギリ、危機状況です。
[清潭洞開発施行会社会長]
<今、特に商業不動産景気は悪い?>
「悪い」
<今、近くで分譲中の物件も悪い?>
「清潭洞のいい現場がEOD(貸し出し満期前資金回収要求)が出て公売に出る。そうになれば第2, 第3の『レゴランド事態』が起きない保証はありません」
PF発危機は金融機関を脅かしています。
危ない事業に金を貸した貯蓄銀行と証券会社が揺れています。
[パク・ソニョン/東国大学経済学科教授]
「施行会社は殆ど資本無しで事業を始め、分譲さえ成功すれば天文学的な利益を得る、その繰り返し。そのサイクルが終盤危ない開発に変わった。不動産上昇期に成功したから、危ない地方、商業用の開発事業が更に危ない方向に移ったのだと思います」
2020年93兆ウォンだった国内のPF融資は急増し、現在133兆ウォン。
しかし、適時に利息を返済出来ず、延滞率も急騰しています。
貯蓄銀行の延滞率は6ヶ月で2倍の4.6%です。
証券会社は更に深刻で、延滞率は17%近い。
[パク・ジョンホ/明智大学特任教授]
「過去3~4年間の不動産好況が急過ぎた。不動産PF市場でも、「必ず確認された訳でも無い事業、危険の大きそうな企業も全て推進した。その過程で不動産市場が急冷した。だから今、座礁し始めたのです」
PF不良は建設会社も脅かしています。
危ない融資なので、金融機関は施工会社に事実上保証させる。
[イ・グァンス/不動産アナリスト]
「それがおかしい。信用には基盤がなければならない。しかし、これは多段階の信用です。施行会社が金融圏で金を借りるのに、「大きな建設会社が保証する」と言う。そして、建設会社は、「金融会社が参加する」と言う。一種のピラミッド信用、多段階の信用です。だから、1度崩れ始めれば深刻になる可能性がある。まるでピラミッドが崩れるように」
◀イ・フィジョン▶
PF融資には危険性がありますね?
事業計画を見て融資する為、金融機関の立場では事業性を十分に評価する事が重要なようです。
◀イ・ジュンヒ▶
そうです、しかし、不動産不敗神話の為か?韓国の金融機関は危険性を十分問わないケースが多い代わりに、問題が生じた場合に備え、施工会社に事実上保証を要求します。
◀イ・フィジョン▶
だから、事業に問題が生じれば金融機関だけで無く、建設会社も危なくなる?
◀イ・ジュンヒ▶
そうです。
金利が上がり、分譲市場が凍りつき、すでに建設会社は崩れ始めています。
◀ VCR ▶
蔚山のアン・スグァン氏。
「朝起きると窓越しに、MSの工事現場でクレーンが動いているのが見えました。
[アン・スグァン]
「帰宅しても、まだ作業しているのかと思っていました」
しかし、6ヶ月前クレーンは止まりました。
施工会社が倒産したからです。
工程率33%。
27階建てのMSの8階で止まりました。
アンさん夫妻は騙されました。
来年に入居するはずだったMSです。
[イ・ヨンエ/蔚山MS入居予定者]
「中途金を払い、3次中途金を払い終わった翌日に不渡り。騙されたと思いました。死んで解決するなら死にたい気分です」
不渡りを出した建設会社は施工能力110位圏の申日建設。
この会社が作ったソウル方背洞、全羅北道ワンジュ、済州中門など、全国11ヶ所の工事現場で同時に問題が発生しました。
[イム・ソンチャン/蔚山地域の施行会社専務]
「建設会社が厳しいとしても、自分の物件の事は心配しませんでした。しかし、突然そうなったから恥ずかしい」
危機は中堅建設会社に拡散しています。
9月大宇産業開発が不渡り処理されました。
MSブランド イアンを持った施工能力75位の建設会社です。
忠南天安に建設中だったイアンMSも工事が止まりました。
[パク・ミンギュ/天安MS入居予定者]
「18階を請約しました」
<高層ですね?展望も出来る?>
「とてもいいんです。入って見ると。しかし、今は入る事が出来ません。」
完工を4月に控えた状況でした。
[パク・ミンギュ/天安MS入居予定者]
「答えがありません。本当に狂ってしまいそうです。実は、これが新しい私の巣で、新たな家庭を作り一緒に幸せに生活するはずでしたが水の泡になったと言う事です」
この30代の男性は、追加金4,000万ウォンで同じアパートの分譲権を買いました。
MS価格が最高だった2021年の冬でした。
[キム・ヨンヒョン/天安MS入居予定者]
「もっと上がりそう。私達が買わなければ、更に上がるかも知れない。そんな不安感で、今すぐ買わなくてはと。」
今は利息の返済が心配です。
[キム・ヨンヒョン/天安MS入居予定者]
「借りたチョンセ資金融資の利息、信用融資の利息、そしてこのMSの中途金融資の利息、3つの利息。金額は180~200(万ウォン)程度」
今年に入り、倒産した総合建設会社は459社。
2006年以来18年ぶりの最大です。
売れないからです。
今年の分譲量は約156,000世帯。
昨年の半分水準です。
未分譲が溜まっています。
全国の未分譲住宅は6万世帯。
完工後未分譲=悪性未分譲が9,000世帯です。
今年1月入居を始めた全南光陽のあるMS。
住民数十名がプラカードを手にデモをしています。
『割引分譲中止』と言う内容です。
このMS、1,100世帯の20%近くが売れ残っています。
施工会社は大幅な値引きを始めました。
3年前84㎡の最高層は3億2,700万ウォンでしたが、今は5,000万ウォン下がりました。
高く買った入居者は怒っています。
[パクOO/光陽OOMS入居者]
「一瞬で金を失った気分です。どうして、これほど安くなるのか?」
入居者は警告文を貼りました。
引っ越して来た安く分譲された世帯の駐車料金は50倍、エレベーターの使用料は5,000万ウォン。
[キムOO/光陽OOMS入居者]
「問題になる為に扇情的な文言を使った事は事実です。しかし、これまで入居した世帯は1世帯も無く、当日に撤去しました」
割引分譲は、法的申告や許可事項で無い為、防ぐ事は出来ません。
[光陽OOMS 建設会社の現場所長]
「竣工後未分譲物量を処理する法的権限は会社にある。なのに入居者と協議する必要が?」
表では割引かないふりをして、裏で割引く施行会社もあります。
[大邱地域分譲事務所職員]
「もし社長が10%の契約金を入れて分譲契約書を書けば1ヶ月以内に2,000万ウォン+税金、所得税を差し引いて1,934万ウォン入れた通帳を後で渡すと言う事です」
建設業界は、分譲市場は来年もっと大変だと見ています。
「MS分譲展望指数」は3ヶ月連続下がっています。
◀イ・フィジョン▶
倒産する建設会社がこれほど多ければ、2008年の金融危機のような経済危機がまた近づくのではと心配になります」
◀イ・ジュンヒ▶
実は、韓国は10年前にも同様の危機を経験しました。
2011年の貯蓄銀行事態です。
◀イ・フィジュン▶
貯蓄銀行事態?
あの時もPF融資が問題に?
◀イ・ジュンヒ▶
はい。
貯蓄銀行が30行以上倒産し、多数の建設会社が倒産しました。
庶民も大きな被害にあいました。
しかし、今起こっている事を見ると、危機から教訓を得る事が出来なかったようです。
◀ VCR ▶
2011年2月17日。
総資産9兆9,000億ウォン、国内1位だった釜山貯蓄銀行が営業停止されました。
顧客の預金の半分4兆6,000億円を各種PF事業に貸し莫大な損失が発生しました。
貯蓄銀行の役員が不動産事業に参入し、親戚をズボン社長にして融資させた事実も明らかになりました。
少しでも多く利息を貰う為貯蓄銀行に預金した庶民が大きいな被害にあいました。
[貯蓄銀行顧客(2011年2月)]
「退職金を預金して、毎月利息を貰って生活している。本当に困り果てます」
そんな最中でも、いわゆるVIP顧客は営業停止の前日の夜、金を引出した事実が明らかになりました。
[貯蓄銀行顧客(2011年2月)]
「何事も無いと言った癖に、一晩で倒産?、詐欺じゃないか!!」
2008年のリーマンショック以降、貯蓄銀行危機論が噂されました。
金融当局は問題無いと言いましたが、結局危機は起こりました。
2011年の1年間だけで16行の貯蓄銀行が倒産しました。
2012年8行、2013年5行、2014年と2015年1行ずつ、31行の貯蓄銀行が滅びました。
2010年末時点で、貯蓄銀行の不動産関連融資の割合は48%、PF融資は19%に達しました。
投機性不良融資の影響はとても大きかった。
預金者保護を受けられなかった10万人が1兆3,000億ウォン失いました。
LIG建設、サンブ土建、同一土建、振興企業、ワールド建設、林光土建など、中堅建設会社も倒産しました。
そんな危機がまた近づく?
<ストレート>は、教授、国策研究機関、民間研究機関、金融界専門家20人に現在のPF状況がどれほど深刻なのか聞いてみました。
非常に深刻8人、多少深刻11人。
19人が深刻と答えました。
1人を除いて全員が深刻と診断しました。
[ユン・ジヘ/不動産R114リサーチチーム長(PF状況/非常に深刻)]
「不良事業が、どの時点で起こるか予測出来ない状況だから。不良部分を整理出来ず、先送りした状況だから『現時点が最も深刻』と評価しました」
2008年のリーマンショックや2011年の貯蓄銀行事態と同じくらい危ないと言う警告もあります。
[チギュヒョン/漢陽サイバー大学デジタル建築都市工学科教授(PF状況/非常に深刻)]
「ブリッジローン(PF初期融資)』段階で融資金利が凄く高く、利息を払い続けざる得ない状況。2008年のリーマンショック当時よりもう少し深刻な状況だと判断しています」
当時は貯蓄銀行だけの問題でしたが、今回は証券会社もPF融資に跳び込みました。
[パク・ドクベ/国民大学国際通商学科兼任教授(PF状況/非常に深刻)]
2011年度、貯蓄銀行中心にPF問題が発生しました。あの時も、貯蓄銀行の立場ではかなり深刻な問題でしたが、今回の不動産PFは第2金融圏全体の問題になっている」
2010年末、貯蓄銀行のPF延滞率は25%。
今年、証券会社のPF延滞率は17%まで上がりました。
[イ・ボミ//韓国金融研究院研究委員]
「延滞率がこんなに高い所を見ると、「学ばなかったのか?」と思う。そんな面で、あの時玉石を選り分けられなかった、或いはきちんと学習しなかった。あの時、あの時期を経験し、きちんと学習しなかったから同じ間違いを繰り返す」
危機はいつ起きますか?
9人の専門家は来年下半期が最も危ないと答えました。
来年上半期が5人、今が3人でした。
[ウ・ビョンタク/新韓銀行狎鴎亭駅企業金融センター敷地店長(PF危機/来年下半期)]
「来年の総選挙を前後した不動産政策の方向はどうなるのか?」と言う部分と、金利の方向性に触覚を尖らせている様子が見える」
[キム・ギュジョン/韓国投資証券資産承継研究所長(PF危機/来年下半期)]
「ソフトランディング対策が提示されなければ来年序盤から不良事業現場が増え始め、2024年中盤以降、下半期には深刻な不良化状況が増える可能性があります」
◀イ・フィジュン▶
10年前、貯蓄銀行事態を経験して教訓を得たかと思ったら、またこんな危機論が出る所を見るとそうでは無かったようです。
◀イ・ジュンヒ▶
少し後でお見せしますが、金融機関の道徳的緩みも、問わないで投資もまだ消えていないようです。
◀イ・フィジュン▶
危機が起こらないようにするには政府の役割も重要です。
不良リスクがある事業は早急に整理し、拡散を抑える必要があるのでは?
◀イ・ジュンヒ▶
それが多数専門家の助言です。
しかし、政府がする事を見ると、そうでは無いようです。
◀イ・フィジュン▶
政府は何を?
◀イ・ジュンヒ▶
政府は不良事業を整理していると言うが、むしろ延命させている。
このままでは、危機が更に大きくなる可能性があると言う警告が出ています。
◀ VCR ▶
釜山機張郡の建設事業。
多数の金融機関がPF融資しました。
200億ウォンを貸したウリ総合金融。
どのくらい稼ぎましたか?
1年4ヶ月で73億ウォン。
内、利息が23億ウォン、各種手数料名目で残り50億ウォン。
年間収益率は27%。
途方も無い収益率です。
不動産活況期、PF融資は金融機関にとって黄金の卵を産むガチョウです。
PF担当役員の年俸は、他の役員より遥かに高い。
昨年の証券会社の不動産PF担当役員の年俸を見ると、ハイ投資証券の社長が65億6,700万ウォン、IBK投資証券の元常務が39億4,400万ウォン、富国証券副社長36億9,200万ウォン、メリッツ証券社長36億200万ウォン、ユジン投資証券理事が35億7,700万ウォンでした。
最近の4年間、大手証券会社9社が不動産PF担当役職員に支給した成果給は8,500億ウォンでした。
メリッツ証券が3,550億ウォンで最も多く、韓国投資証券は1人年平均4億ウォン以上。
証券会社の役員の成果給は短期実績で無く、数年間、中長期実績を見て決めるようになっていますが、相当数がそれを破りました。
後で不良が明らかになっても、成果給は現金手渡しで支給されました
実績競争と不良を煽った訳です。
[キム・ギョンミン/ソウル大学環境大学院教授]
「2021年、2020年、ブリッジローン(PF初期融資)で沢山稼いだ時は、自分達も途方も無いインセンティブを貰った。年末にはボーナスも。今この事態が発生すれば経営陣が責任を負います。それが資本主義です」
施行会社の稼ぎは?
ある施行会社の内部文書です。
完売すれば1兆6,000億ウォン入って来ると予想しています。
地価、工事費、金融費用を除いた稼ぎを2,600億ウォンと予想しています。
この施行会社が使った自己資金は400億ウォン程度。
残りは全て借金です。
自己資金400億ウォンで2,600億ウォン稼ぐと6倍の商売です。
[イボミ/韓国金融研究院研究委員]
「施行会社は10%の自己資金と90%のレバレッジを合わせて5%、費用全体の5%しか出しません。後は銀行や金融会社が出す。おかしいでしょ?他の施工会社や銀行や金融会社が黙って見ているのは双方の利益になるからです」
巨大な借金が支える不動産PF事業
成功すれば金融機関も、施行会社も大金を稼ぐ事業です。
しかし、失敗の責任は誰が負うのでしょう?
不動産PF発危機論が押し寄せると、政府が救援投手として乗り出しました。
4月、3,700の金融機を集め、貸主団協約を締結しました。
施行会社が金を返せない場合、ローンの満期延長も債務再調整も容易になりました。
相対的に堅い都市銀行が、危ない事業現場に新規資金を投入するPF正常化ファンドも作りました。
5月の1兆ウォンに続き、9月に更に1兆ウォン。
更に、政府のPF保証規模を15兆ウォン→25兆ウォンに増額しました。
政府が保証するから、積極的に融資しろと言う意味です。
不良が発生すれば税金で埋めなければなりません。
[キム・ギョンミン/ソウル大学環境大学院教授]
「ある人の友人は7000万ウォンのチョンセ詐欺にあって自殺しました。金持ちと自分でリスク管理出来なかった人や企業に15兆~25兆入れる?もの凄くおかしい。1兆で1億のチョンセ詐欺被害者を1万人救済出来る」
政府はソフトランディングの為だと主張します。
[チュ・ギョンホ/経済副首相(非常マクロ経済金融会議、9月21日)]
「秩序があるようソフトランディングに進んでいます。その結果、最近PF融資の延滞率の上昇の勢いが大きく鈍化し、徐々にリスクが緩和される状況です」
しかし、市場では、ゾンビの延命策として受け止めています。
不良の発生を引き延ばす形になるだけだと言う事です。
[☎金融投資会社PF担当者]
「満期を延長し、利息を罰する。甘いんです。延命しているだけです、延命。ず~と酸素呼吸器をつけたまま。最悪は過ぎたので無く、最悪を避けているのです」
ある格付け会社は、ローンの満期延長の実態について、「不動産景気が回復すれば助けになるが、景気回復が遅れた場合、利子負担の増加と事業性の低下で最終的な損失規模が大きくなり、むしろ毒になる」と警告しました。
政府は、玉石を選り分け、危機の可能性がある事業現場187ヶ所中、35ヶ所を整理したと発表しました。
35は、PF事業現場3,600ヶ所の1%です。
[イ・グァンス/不動産アナリスト]
「中途半端なんです。悪い子供がゾンビのように生きている。それも負担ゼロ。それは市場ではありません。退出されなければならないのでは?強調しますが、不動産は退出させていい。土地が残るから。その土地を誰かが安く買って再び供給する。それが供給を更に円滑にし、住宅市場を円滑にさせると言う事です。私達がすべき事は何かと言えば、長期的次元では構造調整が必要。そうで無ければソフトランディングにはなりません」
◀イ・フィジュン▶
チョンセ詐欺にあった青年は、7,000万ウォンの為に命を絶ったのに、危ない事業を行った企業に政府が数十兆ウォン支援する事が果たして公正なのか?
◀イ・ジュンヒ▶
政府は、それを危機管理とだと主張します。
しかし、むしろ危機を先延ばしして、更に育てると言う批判もあります。
◀イ・フィジュン▶
PF融資だけで無く、家計債務も、自営業者融資も途方も無く増えました。
どれだけ危ないレベルでしょう?
◀イ・ジュンヒ▶
家計債務が史上最高水準の1,800兆ウォン。
なんとか減らして管理すべき状況ですが、政府政策は逆です。
むしろ、もっと借金しろと煽る。
◀ VCR ▶
史上最大規模の建て替え事業のソウル遁村住宅公社。
12,000世帯にもなりますが、景気が悪化し、契約放棄懸念が大きくなりました。
しかし、今年始め、政府が規制を大幅に緩和しました。
分譲後8年間売る事が出来ませんでしたが、1年で売れる事に。
居住実績義務の廃止も約束しました。
分譲価格12億ウォン以上の中途金融資を許可しました。
事実上、居住目的で無くても、借金でアパートを買う道を開きました。
家計債務1,800兆ウォン。
韓国は世界で家計債務の増加速度が最も早い国です。
しかし、政府は借入れを更に煽っています。
今年始め、政府が出した『特例巣ローン』
4%台の固定金利で5億ウォンまで。
所得を問わず50年満期。
全体額の40%を年収7,000万ウォン以上の人が申請しました。
先月までに41兆7,000億ウォン。
「政府が借金してでも家を買え」と言ったのと同じです。
[パク・ジョンホ/明智大学特任教授]
「死んだ後で返してもいい住宅ローンが50年満期の住宅ローン。そんなものを作った」
その上、金融監督院長は今年の始めから主要銀行を回り、融資金利を下げるよう圧迫した。
その結果、住宅担保ローンは今年34兆ウォンも増えました。
他の先進国は、物価を抑える為に基準金利を上げて緊縮しているにも関わらず、政府が借金を煽る。
大統領室は政府を批判しています。
[キム・デギ/大統領室秘書室長(10月29日)]
「家計債務危機が発生すれば、97年企業債務で経験した通貨危機の10倍の威力になる。特に、過去の政権で流行った「影の融資」や「影の投資」のような態度は本当に危ない」
韓国銀行は何度も懸念を示しました。
[イ・チャンヨン/韓国銀行総裁(8月24日)]
「また低金利になるとの予想で家を買ってはならないと言わせて頂く」
[イ・チャンヨン/韓国銀行総裁(10月19日)]
「再び金利が1%台に下がる、基準金利が下がり、費用負担が減ると考えて買う事に警告します」
2021年高点をとって下落した住宅価格が、今年に入り再び蠢いています。
借金で住宅価格を支えるのは果たして望ましいのか?
[パク・ジョンホ/明智大学特任教授]
「不動産と言う急火を消せば、家計債務と言う別の火が大きくなる。家計債務と言う火を消そうとすれば、不動産を内需経済に最も重要な割合を占める不動産に火が点く、そのジレンマがあるのが我が国経済の矛盾です」
<借金で建てた家>の著者 シカゴ大学のアミール・スーフィー教授は、「韓国の家計債務の増加幅は、2008年のリーマンショック直前のアメリカの状況(2001~2007)を連想させる」と言った。
家計債務の急増は、いつも危機を齎すと言います。
[アミール・スーフィー/シカゴ大学教授(youtube 『Chicago Booth Review』、2018年1月12日)]
「私達の研究結果では、家計債務が持続不可能な水準に増加すれば、銀行危機と金融危機、全般的な景気低迷が発生すると言う事です」
借金で支える住宅価格。
借金で食いつなぐ不動産PF。
こんな経済が持続可能でしょうか?
[イム・ジェマン/世宗大学不動産学科教授]
「金融機関の不良を懸念し、このリスクを隠そうとする。だから、住宅価格を支える為に、あらゆる政策を立てているが、果たして望ましいのか?と言う事。PF問題、取引萎縮問題、価格の下落問題、政府が全ての問題で市場を安定させる為、又は市場を再上昇させる為に努力するのは非常に危ない選択です」
◀イ・フィジュン▶
借金が支える経済は危ないと言う事を私達は多数の経験から学びました。
PF発危機を育てた不動産不敗神話。
むしろ、政府が助長しているのでは?
https://n.news.naver.com/mnews/article/214/0001311358?sid=101
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